少し前に書いた吉野の続き。
柿の葉寿司を食べたことはありますか?最近は京都や大阪の駅弁、特に近鉄が停まる駅の多くで色々製造元の柿の葉寿司が買えます。最近は大きさも普通の握りずしくらいの大きさで、鯖とかサーモンを酢飯の上に載せて、柿の若葉で包んだのが商品になっています。
私が小さな頃、もう30年くらい前ですね。(30年と書くと本人もびっくり、年取ったもんだ。)お袋の田舎の親戚がもって来てくれた、柿の葉寿司は、今の3倍くらい大きく、匂いも独特の物でした。もともと柿の葉寿司は保存食で、奈良の真ん中にある吉野は海からも遠く、たまに手に入る魚は貴重品。魚は、紀伊半島の南の先、熊野から街道を延々と運ばれてくる塩漬けの魚であったそうです。お袋の小さな頃(戦前)では、そのような魚の行商人が時々村に来ていたということです。その塩漬けの鯖を使用して、殺菌効果のある柿の葉に包んで何重にも積み重ね、重しをして、少し発酵した「なれ寿司」にしたのが、もともとの柿の葉寿司です。
私が子供の頃、この大きな柿の葉寿司を、お袋の親戚は吉野杉で作った箱の両端を紐で縛って重し代わりにできる、柿の葉寿司専用の箱に入れて届けてくれたのが思い出されます。最初は独特の匂いでなかなか食べれなかったのですが、慣れれば柿の葉と、杉の香りが染込んだ、大きな寿司が大好物になりました。柿の葉寿司を作るのが一番上手だったのは、お袋のお姉さん。毎年初夏に届くのを私もお袋も、親父も楽しみにしていました。
お袋のお姉さんは、昨年他界、この柿の葉寿司をほお張って酒を飲んでいた私の親父も随分前に他界。柿の葉寿司は私にとっては思い出の食べ物です。
もう一度食べたいな。でかい柿の葉寿司。